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「愛媛果試第28号」（紅まどんな）の鮮度保持技術の実用化
「愛媛果試第28号」（紅まどんな）は、果皮
が萎れやすく日持ち性が劣る。現状での出荷は
12月に集中しているが、今後消費者のリピート
購入に対応するため、鮮度の優れる果実の安定
供給に視点をおいた技術開発が求められている。
そこで、「愛媛果試第28号」を現状よりも２か
月長く保存する技術について検討した。
写真１微細孔フィルムに包装した「愛媛果試第28号」
１．保存温度の検討
最適な温度を把握するため、2℃、5℃および
比較的温度変化の少ない貯蔵庫の室温（平均
6.1℃、最高16.0℃、最低0.7℃）で貯蔵し、果
実品質を調査した。調査果実は2013年12月9
日に収穫した。2月までの貯蔵では、PE4に包装
した場合は、5℃あるいは室温保存において果皮
の退色が抑えられ、食味が優れた。また、PP4
では、室温保存において食味が優れる傾向がみ
られた（図１、表１）。一方、2℃では異臭が強
く発生し、果皮の退色も著しかった。
図１保存温度と果皮色（2013）
表１保存温度と果実品質（2014年2月17日）
２．包装資材の検討
ガス透過度や素材の異なる各種の微細孔フィ
ルムを検討した結果、最適なフィルムはPP4お
よびPE4であり、PP4は袋内のエチレンガスの
濃度が低く、食味が良好であった。しかし、PP4
で保存すると、包装20日頃からフィルム内に結
露がみられ、果皮色の低下が認められた。そこ
で、室温で保存し水蒸気高透過性の微細孔フィ
ルムを検討した。その結果、1月下旬までの保
存では、慣行ポリを除きいずれの区も食味は優
れた。2月中旬まで保存した場合、A4X7Gおよび
PL4で食味が明らかに優れた（図２）。果実は適
度に予措が効いた状態で保持され、浮皮もほと
んど認められなかった。
ただし、本試験結果は収穫時に高品質であっ
た果実をていねいに取り扱った場合のものであ
り、品質や取り扱い方によっては鮮度保持期間
は大幅に短くなると考えられる。
図２水蒸気透過量の異なる微細孔フィルムと食味
（2014）
３．まとめ
「愛媛果試第28号」は水蒸気高透過性微細孔
フィルム（A4X7GまたはPL4）に包装し、貯蔵庫
内室温もしくは5℃で2月中旬頃まで高鮮度で
保存できる。
(みかん研究所主任研究員越智洋之)
22
24
26
28
30
32
PP4PE4PP4PE4PP4PE4
2℃5℃室温
果皮色(ハンターa値）
12月17日
1月14日
2月17日
Brixクエン酸異味異臭浮皮
(ｇ/100ｍｌ)(0：無　3：甚)(0：無　3：甚)
収穫直後11.00.720.00.0
2℃PP411.30.623.00.2
PE411.20.632.20.2
5℃PP411.00.540.80.7
PE411.70.530.00.3
室温PP411.90.550.00.1
PE411.50.520.00.4
保存温度包装資材
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
異味異臭（0無←→3甚）
1月22日
2月19日

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